●事実はなんとかよりも●





「あれ。この番宣、今のドラマ?」
「ああこれ、すごい人気らしいですよ。オレも見てはいないんですけど、タイトルぐらいだったら……」



『   「ユキヒロお前、マユとミナのどっち選ぶんだよ? いい加減はっきりしろよッ!」
    「俺とミナが兄妹? 腹違いの……? ウソだろ!?」

    「そんなのっ……だってそんなの今さら言われたって……!!」

   トライアングル・マンション、第九話…………物語はついにクライマックスへ!    』




「あー、そうそう。それ」
「……」
「こういうのってまず、ハナシを考えるのから大変そうですよね。
 今のなんて出てくる人はフツーにご近所なんかに住んでそうですけど、実際にはこういう状況なんてなかなか」

「…………」
「成歩堂さん??」
「なんでもないよオドロキくん。ところで食器並べるのでも手伝おうかぜんぜんひとつも遠慮しなくていいんだよ」








(…………腕輪……かつてない勢いで締まってきてるんですけど……)












●そんな印象●





「成歩堂さん、って」
「うん?」
「現役のときにも生やしてたりしたんですか? その、ヒゲとか」
「いや。してなかったね」
「じゃあ。今はどうして」
「カンロクが出るかなと思って」
「あぁ……なるほど」
「と、いうことにしておこうか。アドリブで」
「無精なんじゃないですか!」


「カンロクが欲しい、っていうのはあながちウソでもないんだよ。父親としても」
「まあ、迫力ありますもんね、ヒゲって。なんとなく」
「それにムカシは法廷に出ると、あれだな。そのへんは裁判長とキャラクターも被ってきたしね」
「キャラクターの問題だったんですか!」

「ひとまず第一印象は大事……みたいだよ、ステージのみならず。法廷でも」
「どうせオレはキャラクター、ウスいですけど。マスコットとしても使えないでしょうけど」
「いじけることないだろう。そうだな、空でも飛んで入廷してみる? みぬきのマジックで」
「それじゃまるでマックス・ギャラクティカ裁判じゃないですか!」
「おや。知ってたのか」
「有名なウワサですよ、それ。実際に空から入廷したって本当ですか?」
「残念ながら未遂に終わったよ」
「じゃ、やろうとはしたんですか!?
 ……ま、まあそれに第一、オレには空中入場だなんてきっとムリですし……それこそマジシャンでもないんだから」
「……才能はあると思うけど」
「?」
「いや。まあ、個性っていうのなら君にはその触角もあるしね」
「……これ、カンロクありますか? 決してツノではないですけど」
「ないこともないんじゃないかな」
(……ハッキリしないようだ)




「ところで。オドロキくん、どうしていきなりヒゲの話を?」
「あ、ああ。きちんとしたらもっと若々しい……って言うのも失礼ですけど、なのに勿体ないなぁ、とか」
「そうかな」
「そりゃあ」
「カッコイイと思う? そっちの方が」
「ま、まあ、あの。そんな感じで」
「今はカッコよくない、かな?」
「いやいやいや! そういうことじゃなくて! それはそれでッ!」
「はは、ありがとう。
 でもまあ、やっぱりこれはこれで割とカンロクもあるしね。それに今や慣れちゃってこっちの方が楽でもある」
「それを無精って言うんじゃないかな……でも、それならオレものばしてみようかな。ヒゲ」
「オドロキくんはそのままでもいいだろ。裁判長や僕とキャラクターも被ってくるし」
「だからそういうモンダイですか!」

「まあ、それに……今のままでもカワイイんじゃないかな」
「カワイイ、ですか」
「使えないマスコットになれるぐらいには」
「使えなくってすみませんね」
「スネるなって。マスコットっていうのはいわゆる可愛がられ役なんだから、頼りになりすぎたら助けようもないじゃないか」
「でも22にもなってマスコットってどうなんですか……マスコット……」
「22? あれ、そんなにいってたっけ」
「……いくつに見えます? オレ」
「さぁ」
(…………ハッキリしないようだ……)




(でも、カンロクがどうとかそういうこと気にするとか。そんなハナシになると)


「そうだな。学ラン着ててもおかしくはなさそうだね」
「そこまで!?」




(ちょっと親近感とか湧いてきたりして……やっぱり失礼かな? そういうの)













●ふたりゲーム●





「じゃあ、そっちから見て一番ひだり……」

「ハートの3」
「そのトナリは」
「10だ。スペード」
「その、もうひとつ右」
「5。クローバー」
「そのもうひとつ、右」
「クィーン。またスペード」
「……ええと」
「うん? …………うん、なるほどね。さすがだ」


「じゃあええと、『それ』がジョーカー……ですか」
「ああ。スペードのクィーンは実のところその更に隣だ、ほら」
「あ、はい。確かに」
「これで証明されたね。王泥喜くんだって、やろうと思えばステージに立てるさ」
「でもマジックとはだいぶ違うと思うんですけど、これ……
 あらかじめそっちのカードの中にジョーカーが入ってるのが解ってて、あえてそのジョーカー以外のところでは本当の札を言ってもらって、
 相手にお膳立てをさせすぎてませんか」
「それでも、知らないヒトなら驚くだろ。見た目には立派な『魔術』だ」
「ものは言い様……ですか」
「後は君の口先にかかっているわけだ」
「うう。なんだが華やかな世界の舞台裏ですね」
「いいんじゃないの、君はスタッフだって名乗っても差し支えない立場だし」
「そ、そうですかね?」
「みぬきの仕事道具、磨いたりするだろう」
「……ええまあ。だってそのぐらいしか手伝えませんからね」

「なら、やってみたら? カードマジック」
「できる気がしないです。ひとつも」
「人前で主張する、ってとこでは弁護士と似たようなモノじゃないか」
「だいぶ違うと思いますよ!」
「用意を整えて場へ赴く、状況に応じてはアドリブもこなす。……ひとつずつ本質を見ていけば、ほら」
「いや、それは……それは…………あれ?」
「似てるだろ」
「な、なんだかそんな気がしてきた……なんでだ」

「まあまあ、流されやすいタチのオドロキくん。君はもっと自信を持ったっていいわけだ」
「成歩堂さん……」
「ああ。ほどほどに」
「……ほどほどにですか」
「ステージに立つにも法廷に立つにも、いつでも笑えるようにね」
「華やかなことは得意じゃないんです。牙琉検事にすら年寄り扱いされたし」
「おや。って、君の方が歳下じゃなかったっけ」
「そうですよ! そうなんですよ! ね!」
「確かに、やる気のある時とない時のギャップは激しいと思うけどね」
「えええ、そうですか? そんなに?」
「やる気のある時、君の笑顔はそりゃもうスゴイよ。圧倒的で」
「あ、圧倒的な笑顔ってどんなですか! なんだか不安になってきたんですけど……自分のことなのに」
「だから、もう少し自信を持ってもいいのさ。その圧倒的な、ふてぶてしさに」



「……でも、マジシャンはやめておきますよ。なんせ成歩堂さん相手のポーカーにだって勝てないんですから」
「勝たれても困るね。だってそもそも僕はプロだし」
「プロを相手に負けっぱなしじゃ、結局まだまだプロにはなれないですよ」
「なるほど……なら、別のゲームでもしてみようか? ババ抜きとか」
「ババ抜き! いいですね、なんだか懐かしいです」









「う」
「……あ。オドロキくんの状況がいま、僕にも見抜けたよ。ババひいたろ?」
「ええ引きましたよ! ……て、二人ババ抜きなんですからそんなの解って当たり前じゃないですかーッ!」










ナルホドロキ会話みたいな妄想をまとめてみました。
思い付いたままに書くのは楽しい!そして私の発想はひどい…


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