「やあ、アニキ! ガリューウェーブを聴いてくれてるかい?
なかなかに好調なんだよ。最近では新メンバーの話もある」
「それは結構だ。そういえばこちらも最近の話になりますが、新しく弟子を取ったのですよ」
「アニキが? そりゃよっぽど優秀なんだろうね」
「ふ。試験を通ったばかりだ、まだまだ子供です」
「どんな子なんだい?」
「ええ。まあ、
(正直出会ったはじめの頃は煩いなあとばかり思っていたのですが見ていると何とはなしに面白いようになってきて)
お使いぐらいならよくやってくれますが、法廷での経験なんかはこれからです。
(そうしている内にだんだん愛着がわいてきたかと思えば早起きして発声練習だと出かけて行く姿も)
そういえば声の大きさには自信があるようですね。さて本番ではどうだか……
(今ではかわいくて)かわいくてかわいくて」
「う、うろたえるなアニキ!」
「…………響也もね」
こぼしたー!
「お客様。この中から一枚」
「え。じゃ、じゃあコレを……」
「1、2、3、はい出ました! なんと婚姻届けです!」
「!?」
「ご覧ください片側の欄には、もう既に名前が」
「な、なんだって…… これはッ! オレの名前じゃないか!」
「印鑑も押してありますよ!」
「なんでだ!」
「相手の欄には誰の名前を書くのかなー? ……さて、ここからが見どころです!」
「……オレの名前、書くとこ間違ってない? 男の名前、こっちじゃなくない?」
コラボレーションマジカル! ……マジカル?
「声に自信があるようだね」
「そりゃもう毎朝、早起きして鍛えてますから! 今やご近所でもちょっとした名物です!」
「オドロキさん、すごいです!」
「ははは、何時だい。早朝」
「五時ごろですけど、それを目覚ましにしてくれているビジネスマンの方もいらっしゃるんですよ」
「オドロキさん、人気者ですね!」
「そうなのかもね(それが通るっていうんなら本当に)」
「けど、ここで暮らすようになったら、ひとまずその慣習はどうにかしないとね」
「ねー」
「?」
「なんでもないよ」
「なんでもないですよー」
もう一緒に暮らしちゃっていいんじゃないかな……とかそういう妄想が、つい…
「やあ」
「おや。珍しい男が面会に……来たものだ」
「君のところの元、お弟子さんの話なんだけど」
「元、確かに私の弟子であった彼が、何か?」
「毎朝早くに発声の練習をしているだろう」
「そのようですね。ムカシ事務所の傍で叫んでいたこともありましたが、今でも続けているのですか」
「事務所の傍で、まで? ……よく君が許したなと思ってね」
「それで毎日満面の笑顔で出勤してくれるのですから安いものです」
「……今、さらりと」
「さらりと何か?」
さらりとした先生…… またごめんなさい先生。