「うん……っていうか、ご近所から逃げ出したネコを捕まえて帰ってきただけなんだけど」
「立派なお仕事ですよ!」
「『なんでも事務所』だからって、『なんでも屋』さんだと思って来る人がいるじゃないか!
この名前ってどうにかならないかな……」
「みぬきは気に入ってるんだけどなあ。なんだかカワイイじゃないですか」
「うーん」
「それに『ホウリツゲイノウ事務所』とか、ちょっと長々しくって印象に残りづらそうですし。
逆に『ゲイノウホウリツ事務所』だと、なんだか芸能専門の相談所みたいになっちゃいますしね」
「確かに……解るっちゃ解るけど」
「そうだ! 『ナルホドロキ事務所』にしてみましょうか」
(少なくとも弁護士がいるようには聞こえないな……)
「とにかく、このまんまだとボランティアみたいな仕事ばっかり入ってくるし」
「お礼が不満ですか?」
「そういうわけじゃないけど」
「みぬきとボウシ君が撫で撫でしてあげますから、元気だしてください」
「ええっオレいまもしかして大人げなかった!?」
「それじゃあ僕が撫でてあげようか、君のオデコを。どうだいオデコ君」
「あっ、よかった! オドロキさんより歳上のお兄さんも来てくれましたよ!」
「検事っ!? どこから!?」
このトリオには、とても和みます…!
(うーん。オドロキさん、染み付いちゃってるみたい)
覚えたことを覚えたままに
「オドロキさーん?」
「あ」
(いけない)
(眠ってたんですね。ごめんなさい)
(オドロキさんが寝ているところって、そういえば滅多に見ません)
(事務所に泊まっていくときオドロキさんは、みぬきとパパの帰りを待っていてくれます。
そしてみぬきが眠る頃にも、まだまだ起きてるみたいです。
朝は一番はやくに目を覚ましてます)
(仕事の途中には居眠りをしません)
(だから今、眠ってるとこ、初めて見ました)
(ちょっとだけ、びっくり)
(オドロキさんはうたた寝をしない人なんだなあと思います)
(でも、たまにはしたって所長のみぬきは怒りません)
(いいんですよ?)
(いいのになあ)
「……カゼひいちゃ嫌ですよー?」
(椅子と壁とにもたれ掛かるようにして、瞳といっしょに口もつぐんで)
(いつもはくるくる変わっていく、ポーカーフェイスとは反対のその表情も、まるで忘れてしまったみたいに穏やかで)
(わたしはそれを、それも、ただゆっくり見ていたいといま、思いました)
(だから声をかけてみるかわりに)
(その頭をそっと、そっと撫でてみたりして)
(……こうしてると、やっぱりみぬきがお姉さんみたいです)
二人そろって熟睡しているところを帰宅したパパが発見