大嘘つき157話




「あれっ……君、誰だったっけ?」

藤原「やだなあ、ずっと前から君たちと一緒だっただろう? 僕だよ」



翔「……そうだったっす! 僕がラーイエローへの昇進デュエルで戦ったのも!」
剣山「オレに恐竜さんのホネを移植してくれたのも!」
明日香「私のアイドル化計画をかけたデュエルの相手だったのも!」
万丈目「極寒のノース校でこの俺のことを導いたのも!」

『みーんな藤原だったじゃないか!!』



藤原「いや、それはない」

「そうだ!」「そうだ!」「そうだ!」
藤原「うわっ、全校生徒の皆さんが集まってきた!」



「宿題を忘れた日に「今日だけだよ」ってささやいて、さりげなくノートを見せてくれたのも!」
「メールで恋愛相談に乗ってくれたのも!」
「あの夏の日、オレとタッグデュエルを組んだのも!」
「あの冬の日、私のチョコレートと告白を断ったのも!」
「具なしパンを引き当てて泣きそうだった俺に、そっと黄金のタマゴパンを差し出してくれたのも!」

「非常にマジメな生徒で授業も皆勤賞なノーネ!」
「その上すすんで保健室を手伝ってくれる慈愛の持ち主だわ!」
「一年生のとき、三沢君と競ってラーイエローの期待の星だったきみを思い出すルー!」


藤原「なんと先生方まで!」




ふーじわら! ふーじわら! ふーじわら!!(以下、途切れずに続く)







十代「よう……おめでとう」
藤原「あ、ありがとう、十代君……」
十代「おめでとう」
藤原「ありがとう」
十代「でもお前、
   誰だっけ?」
藤原「君なら解ってくれると思っていた!


   ありがとう! 本当にありがとう……!!」














ネオ十?




十代「ネオス!」
ネオス「おう!」

十代「ネオス! エビフライ定食持ってきてくれ」
ネオス「おう!」

十代「ネオス! そこにたたんである着替えを取ってくれ」
ネオス「おう!」

十代「ネオス! 黄金のタマゴパン半分こするか」
ネオス「おう!」


十代「ネオス! 実はオレ、お前のこと……」
ネオス「えっ……」
十代「ネオス…………」
ネオス「十代…………」






(翌日)



十代「ネオス! …………な、なぜそんなボロボロに! まさか光の!?」
ネオス「いや、あのあと怒ったユベルがこっちに出てきて……ひと晩中、追いかけ回されました……」














十代×大徳寺なのか159話




十代「先生。知っていることを全部教えてくれないんだったら、俺もちょっとはひどいマネをしなくちゃならないぜ」
大徳寺『ほ、ホントになんにも知らないんだにゃ〜!』
十代「へーえ、トイレも怖くないのか? ……それなら、もらってきた力をちょっとだけ見せてやろうかな」
大徳寺『チカラ?』
十代「怖い?」
大徳寺『いやー、研究者としてはむしろなんだか興味がにゃー』
十代「先生のそういうとこ、好きだぜ……ふ、力っていうのはな。
   たとえばこんなのとか」
大徳寺『なっ』
十代「こんなのとか」
大徳寺『ああっ……そ、そんなことまで!』






吹雪「な、なんとかレッド寮に……たどり着いたぞ。あとは十代くんの部屋へっ……!
   …………ん? なんだ、トイレの方から声が」

「ほらほら言わないと、次はこんなことも!」
『こ、こんなことまで!?』

吹雪「あ、あれは……ああっそんな、あんなことまで!」
?????「やあ。そこの色男のきみ」
吹雪「……う、うわあ! 空に上半身がつっかえている怪しい男、お前はいったい……!?」
ミスターT「いや、この通り身動きが取れなくなってしまってね。このままでは登場しそびれてしまう」
吹雪「うーん。不気味だ」
ミスターT「すまないがちょっとそちらへ引っ張りだしてくれないかな」


「まだ言わないか!」
『やっやめて十代くーん!』




ミスターT「む、な、なんと……! あんなことまで!」
吹雪「その上さらにそんなことまで……!
   ……あ、なんかまた気が遠くなってきた」














ユベルとオネストはマスター大好き160話




ユベル「と、いうわけで。
    僕と君はこうして、十代の中でいっしょにやっていくことになったわけだけど」
オネスト「ああ……よろしくたのむ」
ユベル「はじめにひとつ言っておかなければならないことがあるんだよ。
    ……十代の愛は僕のものだってことをさ!
    慈悲は君にだってかかってきたかもしれないけど、他人を巻き込みたがらないのは優しさなんだろうけど、
    愛情はみんな僕のなんだから! それが解らないようなら歓迎することはできないね!」
オネスト「わかっているさ」
ユベル「……本当に?」
オネスト「本当だ、理解している……お前からお前のマスターを奪ったりなどしない。決して」
ユベル「理解だって? 読み解けるとでもいうの、僕の十代への想いを」
オネスト「理屈じゃないだろう?」
ユベル「……言うじゃないか」





〜1時間後〜


オネスト「そう、本音を言うのならそういうことさ……
     闇がなんだろうとそんなの、それでも、それでもせめてマスターのお傍に……」
ユベル「君もいろいろと痛みを引いてきたんだね……」





〜5時間後〜


オネスト「ああ……一目でいい、一目でよかったんだ! マスターに会いたかった! いっそ一言だけでもっ」
ユベル「人間のマスターなんてっみんな勝手さ! すぐに何だかんだとかふらふら夢中になるんだから!
    ぼくの十代だって最近いきなりひとから送りつけられた、ケイタイデンワだっけ、
    あんなのしれっとした顔で持ち歩いたりしてっ……!」







翔「アニキ……あのあと体の調子、どうっすか?」
万丈目「オネストはどうしてるんだ? その……ユベルと」
十代「…………上手くやってるみたいだ(すごく……)」






〜 いっぽうそのころ保健室では 〜


オブライエン「ことはひとまず治まったが、お前は保健室に逆戻りか……
       悪かったな。早いうちに助けに行ってやれないで」
吹雪「なーに、すぐに良くなるさ。
   ほらこの通り愛しい我が妹の健気な看病もあることだし、なんなら今からだってひとつ波にでも乗って……」
明日香「にーいーさん!」
吹雪「いたたっ、つねっちゃ痛いよー明日香ぁ」
オブライン(……それにしてもこいつ、こんな男だったか? 異世界で)
剣山「しっかしオブライエンがデッキ切れを起こしたときにはどうなるかって思ったドン。
   っていうかあれカード、全部そのまんま撃っちゃってたザウルス……?」
オブライエン「問題はそこじゃない」
明日香「そこじゃないって……ど、どこ?」


オブライエン「恥をさらすとデッキ切れを起こすのは今回でもう三度目のことになる。
       一度目はウエスト校時代、その晩は夜通しコブラに先見の不足だなどとは情けないだの何だの説教された……
       二度目は異世界へ行ったとき、その晩には皆、この世界に戻って来られていたわけだが……
       奴は夢にまで出てきてやはり夜通し説教された。
       今晩あたりにもきっとキレて夢枕に立ってくるに違いない」


剣山「そ……そりゃあ厳しいのにも程があるドン!」
明日香「むしろそこなの? 説教するところ、そこでいいの?」







吹雪(撃ちだされっ放しだったオブライエンくんのカード……
   ……うっかり闇に染められる前に回収されてるといいんだけど)














<内側から見る生活> ユベルはやっぱり十代大好き




ユベル「な……なんてことだ…………

    十代が! 僕ではない誰かとタッグを組むだなんてッ!」



オネスト「ま、まあ待て、落ち着くんだユベル……男女でペアを組むというのはその、ルールなんだろう?」
ユベル「男でも動物でもイヤだ!」
オネスト「そこまで!?」
ユベル「くっ……他の誰かに渡すくらいだったら、僕が出ていって十代とタッグを組みたい」
オネスト「しかしペアの相手は女生徒限定だと、さっき……」
ユベル「どうすればなれるんだ! ……制服かー!」
オネスト「うろたえるなユベル!今週はCMでも共演できただろう、って、ちょ、ちょ、うわあああー!」








十代「………………」
剣山「……おーいアニキー? どうしたんザウルスー?」
万丈目「そうかそうか、天上院くんとのペア結成権のこのサンダーさんに譲ってくれようと言うんだな」
剣山「それはないドン」
レイ「わかった、きっとルールを乗り越えてでも私と組みたいんだ! 十代様ー!」
剣山「それもないドン!」
翔「ま、まさか…………燃料ぎれしたんじゃ」
剣山「アニキはビークロイドと違うザウルスー!?」
万丈目「そうだったのか……よし! 誰かエビフライをもてッ!」
明日香「だからメカじゃないのよ、メカじゃ」



大徳寺(きっと中の方でだいぶ揉めてるんだニャー……)







<どこかに> 大徳寺と十代(オブ十?)





 あれから十代はどこへ行くのにも、紅色の携帯電話をひそませて持ち歩いている。
 入浴の際などには畳んだ着替えの上に置いておくのだそうだ。
 前触れもなく小包にされて送られてきたもの。




『大切にしてるんだニャ』
「いつ、かかってくるかもしれないだろ? もしかしたら今にだって」


 番号がたったひとつだけ。
 そこに抱かれる記録は、十代の手に渡って以降も変わることなく、それのみであった。

「それが大事なことだったとしたら、すぐに受けられなきゃ大変だ」
『大事なことじゃなかったら?』
「大事なことでなきゃ……まあ、かかってこないさ。たぶんな」

 アカデミアでの生活を通してそれなりに扱い慣れてきた、一本の長い釣り竿を両手でもって握っている。
 件の携帯電話は大人しく仕舞われてポケットの中だ。
 そして寄ってくるような魚の気配は、今のところ殆ど感じられることもない。


「……次に着信があったら、教えてもらうか。魚の捕り方」
『でも本当に急ぎの大事な用件、だったりしたら怒られちゃうんじゃないのかにゃ』
「かもな」



 水面は実に穏やかにして静かなものであった。

「あ」

 しかし十代が身じろぎを起こしたため、伝わり伴って僅かに揺らめいてみせる。





「……でもあいつ、魚は好きじゃないんだっけ」


 そして遠くもないどこかにて今、水に跳ね音が響いた。














十代と明日香がモテてる162話




レイ「『パートナーチェンジ』発動!
   ここで先輩達の了解を得ることができれば、双方タッグのパートナーひとりずつが交代する!」



明日香「なんですって!」
十代「はじめて見るカードだな……」
剣山「レ、レイちゃーん、このデュエルのコンセプトー……
   ………… いやっ、わかったザウルス。

   ……十代のアニキのパートナーはこのオレに!
   まかせてほしいドンッ!」


レイ「あれっ、そっち!?」





翔「いやせっかくだから、ここは間を取ってこの僕がアニキの意思を継ぐかたちで……」
万丈目「待てまて、貴様には荷が重い。ここはこの万丈目サンダーさんこそが」
吹雪「だがしかし明日香とレイちゃんの華やいだタッグ、これはたいへん捨て難いんじゃあないかな?
   そしてひとまずこの場をおさめるためにも、僕が天の方角から入場しよう……
   おーい頼むよー照明さーん強めにあててねー」
翔「吹雪さん、いつの間に!」
ジュンコ「それなら私だって明日香さんのパートナーに!」
ももえ「わたくしも!」
トメ「あたしだって」


「俺も」
「僕もだ!」
「私もよ!!」








レイ「…………よ、よしっ! ここは今のうち、だよね、十代さ……」


ユベル「もちろん、十代は僕とウィナーロードを歩くんだよね」


レイ「まー!?」
十代「ユベル! いつの間に実態化を!」
ユベル「それも愛だよ、十代。
    愛さえあれば不可能なんて言葉も紙くずみたいなものだってこと、
    ぼくに教えてくれたのは、大人になるよりすこしだけ前のきみだった…… 」








レイ「こ、こんな展開は……さすがに予想できなかった…………
   そしてこの独白はきっと長くなるッ!」













 こうしてまとめてみると、なんだこれということばかり考えていました……




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